STORY
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ENSIS PROJECT

モノづくりの未来を切り拓け

時代の先をゆくマシンの開発をめざし、
切磋琢磨する2人の技術者に迫る。

ファイバーレーザが変えた、板金加工のスタンダード。

世の中のモノづくりを支える「光の技術」。ENSISは光の状態を自在に変え、板金を切ることができるマシンとして2013年にリリースされた。以降、アマダの主力製品となっている。長らく板金加工のスタンダードはCO2レーザーマシン(ガスレーザー)だったが、その常識を変えたのが、このENSIS。新たに採用されたファイバーレーザ技術は高い集光性を得られるテクノロジーとして2010年頃から普及しはじめた。その利便性から薄板の加工速度、加工品質においてはCO2レーザを凌駕していったが、厚板の領域ではCO2レーザのパフォーマンスに及ばないという問題も抱えていた。薄板から厚板までのフルレンジ加工へのニーズが高まっていくなかで、アマダは米国の通信機器メーカーJDSU社と共同で新型発振器を開発。光の形状を変え、ついに薄板から厚板までレンズ交換なしで自在に加工することを可能にした。この発振器の開発に2年、発振器を搭載する機械の開発に約1年、実に足掛け3年の開発期間を経てENSISは誕生。板金加工機械の進化を描いた技術者たちに話を聞いた。

PROJECT MEMBER

菊地 輝
第二制御開発部
制御ソフト開発グループ
レーザ第二チーム
コンピューターサイエンス学部
コンピューターサイエンス学科
田中 裕介
ブランク開発部
レーザ第一開発グループ
開発チーム
工学研究科
ナノメカニクス専攻

新機種を世に送り出すために行った実機検証、50回。

ENSIS開発で担当したのは、発振器を搭載するためのカバー類の設計と配線経路の設計、そして実機評価です。光の力を最大化させるためには、どのような形状で、どのように配線していけばいいのか、一つひとつ決めていくのですが、自分の担当部分だけ理解していればいいわけではありません。実機作製段階に進むと、私たちが作製した設計図をもとに生産管理部、調達部、部品メーカーなどたくさんの人が動くので、質問されたらなんでも答えられるよう、チームメンバーの設計意図も頭にいれながら設計全体を把握するよう努めました。

開発で特に苦労したのはビームコントローラーという光学部分の再設計。ビームコントローラーは簡単にいうと光の出力を調整する箱のことです。ENSIS開発以前から、この箱の中に粉塵が入り込んでしまうという課題がありました。実際に加工機を使用する工場などは必ずしも良い環境ばかりではありません。あらゆる環境下でも壊れずに動く機械にするため、考えうる負荷をかける実機評価をメンバーと協業し、クリアしていきました。その回数、50回。何度も壁にあたり苦悩もありますが、これまではできなかったことを自分たちの手で可能にしていくのです。新機種設計の醍醐味は完成した瞬間の達成感。これに尽きますね。

金属の塊に命を吹き込む、制御という仕事。

学生時代はプログラミングの勉強をしていたのですが、目に見えないソフトをつくるよりも実在するモノの動きをつくりだす方が面白いと思うようになりました。そんなときに出会ったのがアマダ。見たこともないほどの大きな機械を動かせる制御の仕事に魅せられて入社しました。入社6年目にENSISの開発に制御として携わりました。一番難しかったのが板の状態によって制御のプログラミングを細かく変えていくこと。例えば、ビームが厚い板を速く貫通するには、薄い板を速く貫通するなら、横に切るんだったら、などいくつもの状況を想定して設定をしていくのですが、何パターンもある中から、一番いい答えを探していくのは至難の技でした。

一つのことができるようになったら、また一つ成長課題が見つかるものです。ENSISではパーツ交換なしで、機械の状態を変えることなく様々な厚さの板を切れるようになりました。つまり、今までやっていたパーツ交換という動作は省略してよくなったということ。そのおかげで、さらに別の動作が省略できるのではないかという話になったり、お客さまから新たなニーズが生まれたりして、開発には終わりがありません。どこまでいっても、さらに改善する余地がある。奥深く一生飽きない仕事だと思っています。

REAL VOICE